教員の休職インタビュー vol.3 ~教師3年目の苦悩~(後編)

教師3年目で休職に直面した木内美奈さん(仮名)

二年弱の休職のあと、どのような経過をたどったのでしょうか。

目次

2年弱の休職後の復帰は?

自分の人生を取り戻して、「もう一回だけ頑張ってみよう」と決め、特別支援学級の担任として2017年4月から復職しました。
  

境遇の似た先生と一緒に働けたこともあって、すごく楽しかったです。
子どもたちとの関わりもとてもやりがいがありました。
   

自分の中でも生活リズムや、仕事の仕方がわかり始めた頃、突然転勤が決まりました。
  

それを知った時、校長室でボロボロ泣きました。

翌年度も、その学級の子どもたちともっと向き合えるものと思っていたのに。
   

赴任先の校長先生から「来年度、1年生の担任です」と聞かされたとき、正直、体力的精神的にも「今の私でではまだ無理だ」と感じました。
  

休職や復帰、これまでのすべての見てきたはずの校長先生から新しい赴任先の校長先生へ「あの先生ならできる」と情報共有されてしまったようで。

前の学校に比べたら、比較的落ち着いた学校ではありましたし、先生たちもよくしてくださって、子どもたちも可愛かったです。
  

ものすごく良い環境でしたが、身体が追い付きませんでした。
  

冬になると何回も身体を崩すようになり、再発し、ちょこちょこ休みをもらいましたが、身体が戻りませんでした。
  

もう限界。

休職は復職に対して、どうしても焦りがでてしまうので、2019年3月、一旦退職しようと決めました。
  

 

今、教員時代を振り返って感じることはありますか?

「生徒は何かに困っているんだろうな」と感じていました。
どう表現したらいいのかわからず、先生の顔を見るとつい「死ね」と言ってしまうんだろうなと。
  

でも、ずっと関わり続けていた子が少しずつ変わっていき頼ってくれるようになったり、すごくやりがいも感じていました。
  

3年生を送り出した時に、「1年やり切れてよかった」という気持ちと同時に、全てがチャラになった気がしました。
  

不調の原因や経過は?

自分のメンテナンスが下手だったなと感じます。
  

当時は月100時間超の残業を半年以上続けていました。
  

夜11時に帰宅、夕飯を食べながら意識を失うようにリビングで寝てしまって、体の痛みで目が覚めて、シャワーだけ浴びて、そのまま学校へ。

学校でもお弁当を食べる時間がなく、夕方にやっと食事。
  

土日は全部部活で、とても「休みたい」とは言えませんでした。
  

そんな生活を繰り返して、栄養不足や睡眠不足は当たり前。
きっとホルモンの分泌異常を起こしていたし、腸内環境も最悪だったと思います。
  

だから、うつは生活習慣病だなと感じるんです。
  

欲しかったのはアドバイスではない

―カウンセリングで自分と向き合って感じたことは?

教員になるまでは、やりたいもの、なりたいものに対して、努力して手に入れてきました。
「為せば成る」だったんです。
  

「自分で全部できる」と思い込んでいました。
出来ない理由はすべて「努力が足りない」からだと思っていました。

「できる」という変なプライドがあると「助けてください」が言えないんです。
  

「助けてもらう=迷惑」と思い込んでおりましたし、もともとのポジティブな性格がネガティブな感情を押し殺してしまっていたのかもしれません。
  

それから、悩んでいるとアドバイスをもらうことが多くありましたが、本当は「あなたはどうしたい?」って聞いてほしかったのだと思います。
   

アドバイスを聞けば聞くほど、自分のできていない部分に目がいってしまい、さらに自信をなくしていたように感じました。
   

いままさに苦しんでいる先生に声をかけたいこと

まずは「キツイって思ってて良いんだよ」って伝えたいです。
  

「苦しい」って思うほど、頑張った自分のことをまず褒めてあげてって。
  

「教え子のため」「周りの先生のため」「保護者のため」それが原動力になっていることも、ものすごくわかるのですが、まず自分のメンテナンスをしてあげてください。
  

だから
「休んでもいいよ」「とりあえず、一週間休もう」と。
  

教師など、子どもに背中を見せる人は自分が幸せでないとなれないと思うんです。
  

幸せの定義はひとそれぞれですが、教師が自分の人生を楽しんでいる人しかなれない職業になるといいなと思っています。

今後の教育現場、働き方

―美奈さん(仮名)が思う教育現場の課題と未来について
  

仕事は生き方の表現の一つです。
  

いま私自身はライフコーチとして教育に関われていることが幸せですが、異動の際に、話し合って、お互いの希望を伝えあえる場があったら、教職を続けていられたのかもしれないなと思いました。
  

一方的に決められる状況ではなく、
先生たちの人生に寄り添った多様な働き方はできないものでしょうか。
  

また、自分の気質、考え方、思考の癖をよく知っていることが大切だと思います。
  

「自分の感覚が当たり前」って全員が全員思ってしまっていますが、私の場合は子どもの頃から大人の顔色や周りの空気感を敏感に感じ取っていたのでHSPの気質を持っているのだと思います。
  

自覚してないと自分自身をとても扱いづらく大変ですが、今は自覚しているから、だいぶ楽になりました。

先生たちのメンタルケア

―病気になってからでないと施されないのが現状だと思うのですが。

未病医療が必要じゃないかと思います。
  

全教員を対象にカウンセリングなのか、コーチングなのか受ける制度があってもいいですね。
  

―自身の不調に気付くきっかけになるかもしれないですね。

私の場合は、涙が出てくる状態の時も、「なんで涙が出てくるんだろう?」と不思議でした。
  

それが、辛いとかしんどいといった感情には結びつかないくらい、感覚が麻痺していたということです。
  

手の抜き方や力の抜き方がわからなくて、常に全力投球。

自分の状態を客観的にフィードバックしてもらえる存在がいたら違っていたかもしれません。

鬱は苦しかったし、ならないに越したことはないけど、それでもなって初めて分かったことも沢山あったので、ある意味良かったと思っています(笑)
  

もし鬱にならなかったら、過労死していたかもしれないですから。

いま、鬱でつらい方には「これから、良くなるよ」
この経験は絶対に無駄にならないと伝えていくのが私の役割かなと思っています。
  

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この記事を書いた人

EDULIFE代表 松崎祐子
コーチ/大学講師(言語学)

自分らしく健やかであり続ける先生のサポーター

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